emily rose

王JAPAN、野球世界一おめでとう!
荒川静香の女子フィギュア初の金メダルに続いて
今年二つの目の国民的ビッグニュースだね!

これは、すぐにでも映画化してほしい話。
実話じゃなかったら考えられない奇跡的展開といい、
内容的にもいろんな要素、切り方ができるはず。

最近はWBCのことで頭がいっぱいになって、
映画の話がトンと御無沙汰になっちゃった。

というわけで、実話ならではの「考えられない話」の凄味が
堪能できる劇場最新作『エミリー・ローズ』について。

昨年、全米で初登場1位となった話題作『エミリー・ローズ』は、
悪魔祓いによって死亡したとされる19歳のアメリカの女子大生が
本当に悪魔にとり憑かれて死亡したのかどうか、裁判で争われた
という実話の映画化だ。

訴えられたのは、エミリー・ローズの両親から依頼を受けて
キリスト教会から派遣された悪魔祓い師(エクソシスト)。
その神父が医者の処方する薬を一切やめさせた結果、彼女は
死んだのかどうかが焦点となる裁判劇で、その合間に随所で
挿入される生前のエミリー・ローズの描写が思っていたより
怖い。裁判劇と思って余裕で見てると、オカルトホラー的な
怖さに縮み上がるぞ。もちろん、実話なので大げさなホラー
描写は少ないが、これが本当の話かと思うと迫力が違う。

神父の弁護人を引き受ける主人公に扮するローラ・リニーと
舞台で共演し、彼女の推薦でエミリー・ローズ役を射止めた
ジェニファー・カーペンターが、悪魔にとり憑かれたように
上体を反らしている姿を使った日本のTVスポットCMは、
「悪魔のイナバウアー」(本来のイナバウアーとはまったく
意味が違います)として深夜枠中心に放映され、賛否両論の
大反響。いったんは「怖い」と抗議殺到したことから放映は
中止されたが、そのことでさらに話題となって盛り上がり、
再び「悪魔のイナバウアー」TVスポットは復活したらしい。

弁護士役のローラ・リニーは、オスカー候補にもなった演技派。
『ラブ・アクチュアリー』の独身OL役も良かったけど、最近は
『ミスティック・リバー』でショーン・ペンの奥さん役、さらに
『目撃』ではクリント・イーストウッドの娘役と、オスカー監督
イーストウッドの信頼も厚いようだ。しかし、彼女を最初に認識
した映画『真実の行方』(1996年、エド ワード・ノートンの出世作)
は、リチャード・ギア扮する弁護士と対決する冷徹な検事役で、
やっぱり裁判劇。彼女には、そんな知的な役柄がよく似合う。
まさにピッタリの適役。



パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
真実の行方


(以下、ネタバレ注意!)

どこまでが真実の話で、どこまでが演出なのかはよくわからないが、
悪魔祓いに立ち会った医師(彼は証言を前に自動車事故で死亡!)
が録音した現場のテープは実在のもの。また、エミリー・ローズが
自ら死を選んだ理由が明かされる手紙の内容から、彼女を「聖人」
として推挙しようとする動きがあるのも事実だ。

しかし、裁判の結果は有罪。無罪とすれば、悪魔に殺されたことを
認める判決となるため、それは無理だったのかもしれない。けれど、
判決まで獄中にいた期間を刑期として、実質無罪放免になるという
灰色決着の結末も実話なの???

この裁定には、唖然とした。白黒ハッキリさせたがるアメリカで、
こんな出来すぎな結末は普通、考えられない。まるでドラマ的オチ。
実話なのかもしれないけど、あまりに突飛な裁定だけは真実の迫力が
なかったな~。やっぱり悪魔が絡むと、さすがのアメリカ人も白黒
ハッキリつけられないのかな。っていうか、そもそもそんな事件を
法的に裁こうとした国選検事(?)側の意図がイマイチ不明瞭……
売名行為?……エミリー・ローズの両親がエクソシストを訴えた
というならわかるけど、彼らは神父を応援する側だったし、
結構「余計なお世話」的な裁判だったわけ?…(笑)

確かに、悪魔祓いが近年、増加している現実に目を向けさせた、
という意義は大きかったかもしれない。昔からアフリカなどの
土着部族民の間では、悪魔祓いは日常的にあったらしいが、
実はここ10年間で悪魔祓いの依頼は10倍に増えているらしい。
そのため、カトリック教会では正式に公認エクソシストを任命し、
ニューヨークだけでカトリック司祭が正式調査した悪魔憑きは、
過去10年で40件もあるという。真実は恐ろしい。

それを娯楽のように商品化して見せるアメリカ人の商魂もまた
スゴイものがある……今や実話は、金儲けのネタ?(笑)
……そう思ってみると、そんなに怖くなくなるかな。
それが最後に実話の迫力を削いでる気がする。
というわけで、総合評価★★★

誰か、早く「王JAPAN」の感動実話を映画化しようよ!
何なら私が脚本を書いてもいいですよ!(笑)